【妖怪説明】
鳥取県西伯郡西伯町(現・南部町)に伝わる。
福田正八幡宮の宮司さんの屋敷の掘に河童が棲んでいると言われていた。

江戸時代の初め頃、蔵の扉がこじあけられ、酒が3升ほど盗まれていた。それから毎晩のように酒が3升ずつなくなるようになり、庭の砂の上には水かきのついた足跡が堀の方へ続いて残っていた。

宮司さんは、河童の仕業と直感し生け取りにしようと考えたが、河童の身体はヌルヌルしているうえ腕力が人間の五倍もあると聞いているため、方法が思いつかず、その間も夜になると河童は屋敷のまわりを花唄を歌いながら歩き回っていた。

宮司さんは子供の頃に祖父から、河童はきゅうりと酒が大好物だが、頭の皿に酒が入るとたちまち倒れてしまうということを思い出し、家来衆をあつめて蔵の天井から酒の滴がこぼれるように仕掛けを作らせた。

村人が寝静まった深夜、堀から河童が現れ扉をあけようとしたが、その日に限って思うようにあかず、つい力を入れすぎたため、天井から酒の滴がポタリポタリと頭の皿におちた。

河童は気づかず蔵に入って酒を飲み始めるが、いつもと違いあっという間に酔いがまわっていびきをかいて寝込んでしまった。

宮司さんは家来衆に塩をまぶした荒縄で河童を松の大木に縛りつけさせた。
河童が捕えられたことはたちまち村中の評判になり、その夜だけでも何百人もの人が集まってきた。

翌日、太陽が昇ると河童も目覚め「ギャァー、ギャァー」と叫び出した。
太陽が頭上に登ると、塩をまぶした荒縄が河童の身体に食い込んでいく。初めは水草のような濃い緑色だった河童の肌も、水分がぬけて茶褐色になってひからび始めてきた。

２、3日過ぎると河童は急にしおらしくなり「許して下さい。許して下さい」と訴えるようになった。7日目になると「今夜は7日目で、わたしの命もこれでおしまいです。もう悪いことはしませんので、どうか許して下さい」と弱々しい声で訴えた。
宮司さんも神職であるので
「お前がそれほどまでに許して欲しいのなら、この縄を切ってもやるが、二度と悪いことはしないのだな」
「それならば、明日の夜からこの村のまわりを夜回りして歩くこと。そのかわり屋敷の前にお前の大好物の酒を置いておく。それは私からお前に与える給金と考えるがよい。わかったな」

次の夜から、河童は村の周りを巡回し、屋敷と村の警備に尽くしたという。

元禄年間にその美しい堀は埋められてしまい、河童も棲みなれた家を追われ、家族を連れて離れていった。
「子供を連れて去っていく後ろ姿がとても寂しそうで、哀愁が漂っていた」とか、「日野川の上流のあたりを歩いている後姿が、どことなく寂しかった」という。

「日野川の伝説」には福田正八幡宮は相見行佳氏が宮司であり、子供の頃に祖父から河童の特徴を以下のように聞いていたという。
・身長はほぼ三尺(1メートル)
・首から足先までと片腕の長さがほぼ同じ
・腕は伸縮自在で左手を右手の方へ押すと、片方の手が倍近く伸びる
・河原はスッポンと同じ形で、目はサザエの蓋のよう
・生臭いにおいで、人間の身体につくと３日間は臭いが消えない
・身体がヌルヌルしており投網でも捕えられない
・頭の皿の水がなくなると急に元気を失う
・頭の毛はタワシのようなようで全体に薄茶色
・足の指は人間の手と同じ形だが水かきがついている
・キュウリや酒が大好物
・清らかな水の中に棲み、夜になるとギャァギャァと鳴いて危険を知らせた
・頭上の皿に酒が入るとたちまち元気を失う
・人間の五倍の腕力がある

「福田正八幡宮には河童が棲まう 堀から出ては酒浸り」

【参考文献】
『日野川の伝説』 186pp 楳 範之
資料提供：猫化不来

【商品説明】
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表装部の大きさ 幅30cm x 高さ60cm

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One piece art work with autograph.
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Size: W 30 cm x H 60 cm

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