【妖怪説明】
神奈川県相模原市緑区三井(津久井地域)に伝わる。

むかし三井の里に非常に力が強くけんかも負けなしの無敵新兵衛と呼ばれるものがいた。
ある時新兵衛が江戸で用事にでた。帰りは明け方早くに江戸を出発したが中沢を越え、三井明星山下の山道にさしかかったころに日はとっぷりと暮れてしまい、自分の足元がやっとみえるほどの暗さになってしまった。それでも薬師下の庚申様のところにたどりつくことができた。

ふと足を止めて顔を上げると突然ぬうっと雲をつくような大入道が立ちふさがった。
あたりはすでに真っ暗闇なのに、ふしぎなことに大入道の顔だけははっきり見分けられた。
太くつり上がった眉、らんらんと光る大きな目、耳のつけ根までさけているかと思われる大きな口、全く世にも恐ろしい顔だった。
しかし新兵衛は「この化け物め！わしを驚かそうなどとは、もってのほかだ！」と腰の刀を抜いて大入道めがけて切りかかった。
力いっぱい刀をふりおろすも何一つ手応えがなく、かき消されたように見えなくなった。
新兵衛がふと後ろを振り向くと大入道はにたにた笑いながら見下ろしている。

新兵衛は非常に怒って再び切り掛かるが、やはり手応えはなかった。
そして大入道はすうっとかき消すように見えなくなり姿を現さなくなってしまった。地団駄を踏んで悔しがったが、どうしようもないので刀をもとのさやにおさめようとすると少しも入らない。後でよく調べてみるとさやの中には砂や土がぎっしりと詰め込まれていた。
「わたしが負けたのはあの一度だけだった」
と新兵衛は里の人によく大入道の話を語ったという。

「妖怪変化に刀を抜けば 元の鞘にはおさまらぬ」

【参考文献】
『津久井町郷土誌』津久井町教育委員会, 津久井町郷土誌編集委員会 編 338p

【商品説明】
直筆サインが入った１点ものの掛け軸です。
表装（絵柄）以外の部分も特殊加工の印刷により仕上げてあります。
すべて布製ですので耐久性に優れており、収納もしやすくなっています。
説明の短冊がつきます。（画像はサンプルです）
表装部の大きさ 幅30cm x 高さ60cm

【ギフトラッピングについて】
詳しくはこちらをご覧ください。
https://orochi.theshop.jp/blog/2021/01/09/155531

【Description】
One piece art work with autograph.
Special processing printing. Made of cloth. It has excellent durability and is easy to store. An explanation tag will be attached. (The image is a sample)
Size: W 30 cm x H 60 cm

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